一見簡単な仕事に見えてそうで、意外と奥の深い塗装工事

塗装工事については戸建て住宅をお持ちの方は、ほぼ経験されていると思います。

環境によって違うとは思いますが、おおよそ10年に一回が理想なのかと思います。

おそらく目に見えて変化が起こるのがその頃という事になるのだと思います。共通して見た目に現れるのが、白華現象だと思います。これは紫外線によって表面が劣化して塗膜が荒れてくる(チョーク化)ので白く見えてくる現象です。

そしてその頃には目地のシーリングなどが固化してびびが入ってきているのかと思います。コーキングの固化は成分の油脂が抜けることにより固化して縮小するので割れてくるのです。

かといってすぐに壁の中まで劣化を伴う侵食が始まったわけではありません。目地のコーキングの裏側にはバックアップ材が入っておりますし、塗装面の塗膜と外壁本体の境界には、下地材により保護がされているのですぐに何かが起きるわけではないので安心してください。じっくり業者を選ぶ時間はあります。

塗料は顔料、樹脂、添加剤、及び溶剤で構成されます。顔料は色を決める素材。

樹脂は塗装対象の保護を目的として、ある種コーテイング材のような働きがあります。メーカーの良く言う耐用年数の目安はこの辺の評価をいいます。(ポリエステル、ウレタン、シリコン、フッ素系樹脂、エポキシ樹脂など)

添加剤は温度湿度など自然環境や塗装対象の状態に合わせた施工性などを決める材料全般です。

また、溶剤は塗料を塗料成分中の溶媒(液体の状態のものの事、最終的の乾いて硬くなるのですが塗るときは液体でいられる成分)としての成分ですが、大まかにいうと溶剤系塗料と水性塗料があります。違いは溶媒がシンナーなどの揮発性の成分か水なのかの違いです。溶媒は液体状態で施工して揮発させることで固化して塗膜を形成するためのものです。溶剤系は速乾性があるのと仕上がりが良い点が特徴です。但し取り扱うときの健康面の問題や、においが問題です。建設現場、特にリフォームでは、在宅で仕事を行うので、使うときは十分注意が必要です。

その点、水性塗料はほとんどにおいがありません。製品としては溶剤系に比べ後発なので当初は高額で仕上がりも若干劣るといわれておりましたが、近年はさほど金額差がなくなり、仕上がりも損傷がなくなったので、最近の戸建て住宅のリフォームではほとんど水性塗料が採用されております。

最近では弱溶剤と称して溶剤をにおいの少ないものもあります。金属部などは水性の品ぞろえが少ないので弱溶剤系を採用するケースがあります。

金属の部分は錆の問題があります。錆の要因は、金属(鉄など)、水分、酸素の三要素を言いそれがそろうと錆びが発生します。つまり1つでも要因をなくせばさびは起きないということになります。錆止塗材の作用は水分や酸素から対象物を保護することということになります。錆止め塗材は下地に使います。かつては鉛系やクロム系を使用しておりましたが家庭用やリフォームでは人体への影響が配慮され鉛分の少ない方法で各社対応しているようです。他の仕上げ塗料同様エポキシ樹脂系、油性系、合成樹脂系などの主成分で構成されております。鉄以外の金属でもアルミなど伸び縮みが大きいものは、塗料に弾力性を持たせる必要があるのですが、現場では敬遠されるケースもあるので現地で業者の意見を聞いた方がよいと思います。

よく言うインクと塗料の違いは、対象物に色を付ける目的は一緒なのですが、塗料はそれに加えて耐久性や対候性などの性能も兼ね添えた物を指します。

家などを塗装するとき、下塗り、中塗り、上塗り3工程でやりますが、下塗りは中上塗りの付着を確実にするためのものです。

下塗り材はプライマー、バインダー、シーラー、フイラーなどがあります。これらは全て下地と中、上塗りを結びつける役割があり。それぞれ塗装対象によって使い分けております。

バインダーはその名の通り挟み込むといって感覚で、中、上塗りと素地の間を固く結びつけるものです。

プライマーは成分が細かいので素地が硬くて付着しにくい金属などに適しております。

シーラーはコンクリートや木などに適しております。

また、フイラーはシーラーに似ているのですがセメント系素材を入れることで塗装面を保護する作用が加わっており、傷などの劣化が著しいときこれが適しております。

中上塗りは仕上げ材で先に出てくるウレタン系やフッ素系などの成分に加え顔料を含んでいる塗料です。要点としては温度、湿度、塗厚みと溶媒の量で品質が決まります。そのため中、上2工程わざわざ入れております。(1回塗り専用もありますが)もちろんメーカの推奨する塗厚が確保できればよいのですが、なかなか技術的にもむつかしいので、通常は中上塗りで仕上げております。下塗り同様に、中塗りと上塗りの間は時間をある程度とらなくてはいけません。それは、塗った直後にすぐ塗ると先に塗った部分をかき回してしまうからです。結果的に思ったような塗厚にならないなんてことになるわけです。

このように塗った塗料は表面が塗膜状になるのでコーテイング仕上げをしたようなものになるわけです。

秋は、天候が安定しているので塗装するのにはもってこいです。皆様ぜひご相談ください。